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2008年7月12日 (土)

指宿ヨワワ団 THE MOVIE「命のモトは友のアカシ!」西野雄士 入選

指宿ヨワワ団 THE MOVIE「命のモトは友のアカシ!」

指宿の温泉に浸かっている小学6年生のケンタ、スサノオ、ポンチ。彼らが3年前に結成した秘密結社・指宿ヨワワ団の第35回定例会議が始まった。議題は、彼らの中の裏切り者を成敗すること。20年間、開けてはならないという約束で、秘密基地である知林ヶ島に埋めた秘宝「命の素」が、掘り返されてしまったのだ。スサノオとポンチを疑っている団長のケンタは、二人を知林ヶ島へ連れて行く。

知林ヶ島へ向かう浜辺に着いた三人は、今の時期、現れているはずのない砂州が、はっきりと知林ヶ島へ続いている姿を目の当たりにする。ケンタは、全ての物に命を吹き込む「命の素」が砂州へまかれてしまったため、砂州が生命を持ち、長時間存在しているのだと解説する。

知林ヶ島では確かに、命の素を埋めたタイムカプセルが掘り返されていた。やったのは自分ではない、と訴えるスサノオとポンチ。だがケンタは、命の素の恐ろしさを知らない別の人間が盗んだとすれば、大変なことになると嘆く。彼らはかつて、遊び半分で白ご飯に命の素をかけたり、池田湖のアヒルのボートにかけたりして、酷い目にあった経験がある。彼らは、命の素の恐ろしさを知り、封印する事を決めたのだった。

ふと、ポンチが、亡くなったはずの村松のガンコジジイの空き家から、今朝ラジオがなっていたことを思い出す。何者かが、死んだ人間に命の素をかけたのではないかと考えた三人は、ジジイの家に急行する。

廃屋となっている薄暗いジジイの家にこっそりと侵入する3人。恐る恐る中の様子を探っていくが、人の気配はない。すると突然ラジオが爆音で鳴り出す。びびって逃げ出すケンタとポンチであったが、冷静なスサノオが、ジジイが生き返ったのではなく、ラジオに命の素が振りかけられたのだと、分析する。ラジオに命の素をかけた犯人は、ジジイの孫娘、村松ユリではないかと推測した3人は、ユリがジャズダンスを習っている、指宿菜の花館へ向かう。

巨大かつ奇怪なデザインの菜の花館を見上げ、これにまだ命の素がかけらていないことに安堵する3人。もし、菜の花館が命を持てば、地上を焼き尽くす巨神兵が誕生していたに違いない。

ユリのジャズダンス教室をこっそり覗く3人。鼻の下をのばしているケンタは、どうやらユリに惚れているようだ。ユリを呼び出す為、3人はヨワワ団の秘密兵器、ポンチのびっくりものまね術を使う事に決める。これをやるとお腹を下し、2キロ痩せるからと嫌がる肥満体のポンチであったが、いいダイエットになると二人に押し切られる。

天国の祖父にそっくりな声色を使い、まんまとユリを菜の花館の屋上へ呼び出す事に成功した3人。姿を現さず、祖父のふりをしてユリに問いかける。「最近、知林ヶ島へ行き、何かを見たか?」という問いに、「島には行ったが、誰も見てない」と答えるユリ。その後、ケンタの差し金で、ユリの好きな男子を聞き出そうとするが、ポンチがヘマをし、ユリに正体がばれてしまう。怒りをあらわにするユリだったが、「何かを見たか?」という問に対し、「誰も見てない」と答えた矛盾を突かれ、白状し始める。

知林ヶ島へ、相沢光一という少年と遊びに行って、中年風の男が何かを掘っている様を目撃した。人の気配に気づいた男は慌てて何かを持ち去ったが、その時小さな缶を落としていった。自分達はその後、その小さな缶を持って、祖父の家へ掃除へ行った際、突然、ラジオが鳴り出し怖くなって逃げた、という体験を語るユリ。

さらに、使い捨て用の小さな缶に詰められた「命の素」を現在持っているのが相沢光一であること、「命の素」本体を持ち去った真犯人が別にいて、相沢の父が持っているTシャツと同じ物を着ていたことが分かり、相沢が夏期講習を受けている進学塾へと向かう3人であったが、ユリに男がいることを知ったケンタは一人落ち込んでいた。

相沢の進学塾に潜入する3人。窓から授業を覗いていたが、ものまね術のために腹を下したポンチの絶叫で、講師にばれてしまう。機転を利かせて、授業に参加することに成功した3人だったが、相沢光一は最高特進コースで別の教室、自分達はがんばろうコースであることが分かり、地獄の特訓を受けるはめになる。

肉体派の塾講師に身体を使った暗記法を試され、苦しむケンタ。ちょうどその時、ドアの窓越しに相沢光一が通るのが見える。ケンタに気づいた相沢は、小さな缶を取り出して見せ、笑って立ち去る。すると、別の教室から突然、叫び声とともに多くの生徒が逃げ出してくる。

現場の教室へ急行する3人。教室はめちゃくちゃに荒れ、黒板には「たまには勉強以外のことで身を削りたい」というなぐり書きがあり、宙を舞っていたチョークが床に落下する。どうやら相沢が、教室の道具に命の素をかけたらしい。相沢の危険性を知った3人は、相沢と対峙するため、相沢の家へと向かう。
小学生とは思えない、専門書の数々と電子機器類が納められた部屋に住む相沢光一は、指宿ヨワワ団の到着を待っていた。相沢は、砂州やラジオに命の素をまいたのも自分であり、命の素の秘密も知っていたと告げる。

3年前、開聞岳へ遠足した時、遭難し行方不明になったケンタ・スサノオ・ポンチの三人が、食料も無い中1週間も生き延び、奇跡の生還を遂げた。そのことを不思議に思い続けた相沢は、古文書を調べ、「命の素」と呼ばれる幻の花粉の存在を知る。命の素によって3人は助かったのではないかと推理した相沢は、密かにヨワワ団の活動を追跡していた。そして、踏み荒らされた菜の花を、3人が命の素で蘇らせる様を目撃した相沢は、確信を強めた。さらに相沢は、知林ヶ島で偶然手に入れた少量の命の素を使い、その効果持続時間を計測するまでに研究を進めていた。小さな缶に残っている微量の命の素を悪用するのでは、という疑念を抱いたケンタであったが、相沢は、そんな馬鹿な事はせず、それをもとに研究を進め、世界一の学者になるつもりだと答える。

「命の素」の本体を奪った真犯人を知るべく、相沢の父が所有している、犯人が着ていたものと同様のTシャツを見て、ケンタとスサノオは驚愕する。それは、普段ポンチがよく着ているTシャツだったのだ。いつの間にかその場から消えているポンチを探す為、二人は相沢の家を飛び出す。ポンチの家へ向かう二人だったが、ポンチは命の素を取りに帰った後、再びどこかへ出かけたらしい。夜の指宿へと捜索に出かける二人。

ついに二人は、命の素がつまった大きな缶を懐に抱え、座り込んでいるポンチを、知林ヶ島へ向かう浜辺で発見する。事の真相を問いただす二人だったが、ポンチから返ってきた言葉は驚くべきものであった。3年前、開聞岳で遭難した時、ケンタとスサノオは死んでいたのだと言う。崖から滑り落ちて大怪我をしたポンチは、ぐちゃぐちゃになって死んでいる二人を見て、泣きながら帰り道を探していたところ、偶然、幻の花に出会い、その花粉を使って傷を治し、二人を生き返らせた。ポンチは今までそのことを秘密にしてきたのだった。しかし、二人に与えた命の素の効果が3年を経て切れようとしている今、命の素を封印してしまえば、二人は死人に戻ってしまう。そのため、ポンチは命の素を掘り返し、二人に再度与えるつもりだったのだ。最初は信じなかった二人だが、死への兆候が自分の身体に現れ始めていることが分かり、ポンチの話に納得する。ポンチに苦しい思いをさせてきたことを謝り、今ある命の素の残量から、生き延びられる時間を計算するが、それは残り20年であることが判明する。その中途半端さに苦笑いする3人だったが、それまでには再度幻の花を見つけることを誓い、相沢の研究もシャクだけど頼りにしよう、という話をする。中年になっても一緒に温泉に入ろうと宣言した3人は、命の素を舞い散らせる。夜明けの空にきらめく命の素を浴びるケンタとスサノオ。知林ヶ島の向こうからはまばゆい朝日が現れる。「指宿ヨワワ団万歳!!」    THE END

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太平次 旅立ち

  • 216
    指宿ムービープロジェクト制作の6つめ(名義は7作目)の映像は指宿まるごと博物館と共同で制作する「TAHEIJI旅立ち」 幕末の指宿に生まれ、海上王として花開き、日本の長者番付でトップになり、島津藩の逼迫した財政を立て直し、ついに明治維新へと舵を切らせた希代の英雄、濱崎太平次を多くの資料や聞き書きによって脚本化し、念願のドラマを今年造ります

好奇心の漂流記

  • 打ち寄せる青い波
    2010年7月からクランクインした「好奇心の漂流記」もやっとクランクアップが見えて来ました。とは言え、今日も「見た目」「イメージ」「・・・」を撮影に1人うろうろ、してる人物がいます。今年こそは指宿市民会館で上映できると張り切っています。このアルバムはブログで紹介できなかった様子をそのままお見せしています.

ふるさとCM撮影

  • 菜の花畑で
    3月30日、春休み最後の日を利用して、菜の花が最後まで残った池田湖の菜の花畑をお借りして撮影しました。締め切りは今年9月ですが、菜の花がテーマなのでいち早く撮影しました。なんと1日で。

5年後の縁結び

  • Pict0095
    2008年9月7日日曜日クランクアップの日。今まで携わってくれた方全員は集まれませんでしたが、中学生を中心に知林ヶ島が見える海岸に集合しました。最後の撮影はまた、大急ぎで行われ、なんとか撮り終わりました。この後、記念撮影の後、制作サイドで用意した記念品を配り、主演の宮田絵里花 さんと若松大義くん、それに最年少の輝帆ちゃんとひなちゃんに花束贈呈をしました。絵里花ちゃんたちはサプライズとして、みんなで色紙を書いて制作統括に渡し、統括は目を潤ませるといった1シーンもありました

トリオ撮影日記

  • Pict0665
    指宿ムービープロジェクト実験ドラマ「トリオ」の撮影風景です。たった6日間の軌跡です。しっかり、楽しんで、たくさんの思い出を残し、良い映画を作りたいです。

今までのナイスショット

  • Dsc00348
    今まで撮影した中、あるいは、スチールを撮りに行った時のナイスしょっと等載せました。この中からアイドルが生まれるかもね

入院中の望美

  • Photo_1
    ヒロイン;望美が事故に遭い入院してるのがこの病院、最初の話では鹿児島市で事故に遭い、救急車で鹿児島市内の病院に運ばれ、指宿市内の病院に転院という設定でしたが、救急車が指宿市内まで運んでくれたことになり、この南記念クリニックで撮影させていただくことになりました。というのはカメラマンの樋園さんがここで理学療法士として働いているため。先生その節はお世話になりました。

事故シーン

  • Photo
    指宿中央自動車学校と鹿児島中央駅キャンセビル横で撮影した事故シーンの写真 役者・スタッフを前に前説をするむっちゃん、寒さの中をじっと耐えるエキストラの面々、等見所充分。とはいえやはり、血だらけで横たわる望美嬢の悲惨さに目をつぶることはできません。 この日は2つの街が現場なのと大勢の方に協力を頂いているのでもう、大変でした。雨も降ったりやんだり、突然晴れたり、もう、どっちかにしてくれ、撮影できないよ
フォトアルバム

指宿ムービープロジェクト関連サイト

  • FB  指宿ムービープロジェクト
    指宿市を舞台に映画作りをしています。指宿が生んだ幕末の豪商、浜崎太平次と指宿に伝わる篤姫の話しを映像にしました
  • 指宿ムービープロジェクト公式ホームページ
    指宿ムービープロジェクト実行委員会のすべてを掲載しています
  • 指宿市役所
  • いぶすき菜の花マラソン実行委員会
    新年第二日曜日に指宿市内で行われるマラソン大会。沿道には早咲きの菜の花が咲きそろい、市民が応援する、おもてなしのマラソン大会来年で29回うぃ数える、14,000名を超える参加者がある。
  • 平成版IT湯治
     湯治という営みは、まだ病院や医学の知識も無い遠い昔から、人々が元気になる為の手段として有りました。 労働や、日常の様々なストレスの中で疲れた心と体を、薬でなくとも温泉や自然、静かな環境などが癒してくれることを、人々はその体験から知っていたのです。  この体感的に感じていた温泉の湯治効果を、現代のIT技術で、目で見て判るかたちで知り、それを観光や日常の健康づくりに活かそうという試みが、指宿温泉で始まりました。  それが「平成版IT湯治」です。