映画「砂の道」
10
次の休み時間
いつものように健太のクラスに来た忍。健太の前に美女が座ってるのを見て愕然として、床に座り込む。みんな気を使って知らん顔をしている。
席に行き、健太を引っ張っていく、忍。
忍
わかってるね。健太
健太
あ、うん。何が?
忍
あんな美人が前に座ったら嬉しいでしょ。
健太
いや、ぜんぜん、忍の方が可愛いよ。
忍健太の腕を掴み、教室から外に出て、人気(ひとけ)のないところに来ると、突然抱きしめる忍。忍と健太の顔が交差する。
慌てる健太。
忍、にこやかに笑いながら、頭が交差したまま
忍
愛してるよ健太
健太忍を見つめる
11
下校する帰宅部の健太の後を歩く侑、少し早足になり、健太に追いつく。
侑
あの、私、前に座った伊藤侑です、
健太
あ、ああ、よろしく。
転校、初めてなんで、戸惑ってしまって
健太
すぐ慣れるよ。俺もそうだったから。
侑
あ、健太さんも?
健太
そう、東京に居たんだけど、両親が離婚して、おふくろの故郷の指宿に帰ってきた。
親父は東京にいるけど、もう別の家族がいるんだ。
話しながら歩く侑と健太
バレー部に行く途中2人を寂しそうに見つめる忍。
12
半年後、父のいる東京に行くことになった侑と母
リムジンバス乗降口の前に見送りの2年1組の生徒と先生。
健太を見つめる侑。バスが走り出す。
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