映画「砂の道」
31
家の前まで来ると誰かが立っている。以前祥と付き合っていた権藤。
権藤
おい、祥の 手を掴もうとする。かなり酔っている。
権藤
「この盗人があ、」罵る権藤。
祥をかばう純。殴りかかる権藤、純、殴られて、道路に倒れる、
抱き起こし介抱する祥。
権藤
俺はな、クビになるし、嫁は出て行くし、。だからさあ、お前、俺と。祥に近づいていく
純
権藤さんやめてください。祥を庇って前に出る純。
権藤
どけ、
純をつき倒そうとする権藤。
権藤
あばずれがあ、言った瞬間、権藤の顔を殴る純、いつもは冷静で穏やかな純の一面に驚く祥。
しかし、ピアノ弾きの華奢な手は喧嘩もしたことがないのですぐ劣勢になる。華奢な純の手のアップ、細くて白い。それでも大柄な権藤に果敢に殴りかかる、
権藤
へっ、お前そろそろ50だろ、みっともねえなあ。こんな若い女に手を出して。恥ずかしくないのかよ。言いながら蹴りつける
祥
やめてください。純さんはそんな人じゃない。
権藤
じじいが幾ら頑張ってもその女はあんたには振り向かないよ。俺が仕込んだからなあ(下品に笑う)
飛びかかる純を蹴り倒す。また起き上がり権藤に飛びかかるが、何度も何度も殴られ踏みつけられ、権藤は落ちていたブロックの破片を動けなくなった純の右手を潰そうと、振り上げた。祥は恐怖のあまり、すくんで動けない。純はもがくが権藤の足はしっかり押さえつけている、もうだめかと目を閉じかけた瞬間、激しい叫び声とともにいつ来たのか、健太が権藤に体当たりしていた。権藤は咄嗟に周りを見回したが自分を倒したのが少年と見て、捕まえにかかったが権藤は酔っているので素早い動きの健太はなかなか捕まえられない。少年は権藤が捕まえに来るのを後ろに回ると思いっきり背中を蹴飛ばす。前のめりに倒れる権藤。倒れている権藤の顔を蹴りつける少年。次第に動けなくなる権藤。サイレン。
忍
健太、こっち、松葉杖の毅と共に忍。健太、忍の家に駆け込む。
警官が駆けつけ権藤をおこし、純に手錠。暗がりから出てきた近所のおばさん美佐江が美佐江
電話したのはわたし、こいつ(権藤)がこの2人に絡んでたから呼んだんだよ。この人は何も悪くないよ。
32
その晩、謝る祥、
祥
ごめんなさい、私がバカだったばかりにあなたまでひどい目に合わせて。
純
いや、(ぼくなんかでも)いてよかった。役に立たなかったけど(笑)。健太、強かったなあ、おとなしい子だと思ってたけど。
健太頭を掻きながら、
どうして良いかわからなくて、自然に
祥
みんな、ありがとう。本当に、(泣きながら)
健太
じゃあ俺はこれで。(2人玄関から出る。)
忍
ありがとう、今夜は。健太。
外に出て忍、健太の手を握る。見つめあう2人。
忍、健太の顔を手で挟み口付ける。
無言の2人。どちらからともなく笑う。
忍
健太、大好き。
健太
無言で微笑む。なんか有ったらまた電話くれ。すぐ飛んでくるよ。
忍
うん、ありがとう。
健太
じゃ、明日な。
自転車で遠ざかる健太、いつまでも見送る忍。
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