映画 「砂の道」… 第1章 イントロダクション
第1章 イントロダクション
1
小学2年生のクラス。先生さようなら、の声が元気よく聞こえ、先頭を走って飛び出してきた女の子。小雨が降っている。右手に傘を持つて、左手は飛行機の翼のようにしながら走ってくる。後ろからたくさんの子供達。
元気に走ってる女の子、校門を出たところで一瞬見えなくなる。大勢の中から1人の男の子が駆け出す。門を出たところですべって泥だらけで、膝をすりむいた女の子。傘も飛んでる。男の子、赤い傘を拾って女の子に渡し、女の子をおんぶする。泣いていた女の子ヒクヒク言いながら泣き止む。雨の中女の子をおんぶした男の子が歩く。女の子男の子に耳打ちする、
「お嫁さんにしてくれる?」男の子、少し考えてから、大きくうなづく。カメラは上からの引きになり、校門、雨赤い傘、街並みを写す。雨の音が画面を覆い尽くす。
2
女の子の家。お母さんが病院から帰って来ている。忍、傘を置き、走って行ってお母さんに抱きつく。
父毅
こらこら、しーちゃんお母さん、きついからやめなさい。
母瞳
毅くん、大丈夫よ。お母さんさっちゃんとしーちゃんに会うと元気が出てきて病気を忘れる。笑う。
忍
ほうら、お父さん、だってえ、ねえ、お母さん。
母の隣に座っている姉祥、優しく微笑む。
祥
お母さんが病院にいるから忍、甘えられないんだもん、今日くらい良いんじゃない?
父毅
そうだなあ、忍も寂しいけどお母さんだってそうかもなあ。
3
忍の家の前に、忌の文字、黒い服の弔問客が入っていく。
しょんぼり祥と毅に肩を抱かれ、葬儀、遺影の下に座る忍。
門のところに健太。駆け降りて行く忍。忍の肩を抱く健太。泣き尽くす忍。
4
小学生四年生。おわかれ遠足。
手前に歩いている2人。遠くにクラスの子供たちと先生。
リュックを背負った2人嬉しそうに歩いている。
しゃがんで何か探している忍と、健太
忍小さな薄い色の桜貝を手に健太に向かって走る忍
健太、桜貝で小さな指輪を作る。
健太、忍の左手薬指にはめてあげる。手のアップ。忍の笑顔。
冗談交じりに忍は、結婚式は洋式で、白水館と言うと、健太は俺、じゃあ稼ぐな、と言った。この砂の道をバージンロードにしたい、とおませな忍。
5
タイトルバック
青空、砂の道 知林ヶ島と砂の道が引きで入る。
忍と健太の笑顔でFO(フェイドアウト)
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