映画「砂の道」
70
4月
魚見岳の桜の花が知林ヶ島と砂の道にかすんでいる。
忍の病室
忍
健太、ありがとう。ずっと眠ってたから気づかなかった。健太が助けてくれたんだね。
もう私は大丈夫だから、新しい人のところに行って良いよ。
健太
もう良いんだ。おれはずっとお前のそばにいるんだ。お前が嫌だって言ってもな。
忍
え、私、また健太と一緒に居られるの。
健太
もうすぐ卒業だから、こっちに帰ってくる。
そしたら、一生一緒にいてくれるかい?
忍
え、それってもしかして。
健太
そう、おれのお嫁さんになってくれるかい?ごめんな、ずっとほったらかしにして。
健太、桜貝の指輪を忍の指にはめる。
忍
健太あ。泣きながら抱きつこうとするが痛くて諦める、笑う。
病室のドアが開き、祥と純が入ってくる。
純
あ、邪魔だったかな 全員笑う
71
病室に入る松下
松下
忍ちゃん、ほら。後ろに隠してたポスターを見せる。恋人、子ども、夫婦、写真がちりばめられて、砂の道の道が入っている。
忍
わあ、できたんですね。良いなあ、イメージぴったりです。松下さんありがとうございます。
松下
これで募集かけてるんだけど凄く評判になって電話は鳴りっぱなし、ハガキは毎日山のように来てる。
忍さんが退院する頃には愛称が決まってるよ。早く良くなって立ち会わなくちゃね。
忍
はい、がんばって出てきます。笑う
コメント