映画「砂の道」
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神泉に電車は滑り込む。
時計は午後10時を指している。
電車から降りて歩き始める健太。ベンチにいる侑。
健太
侑ちゃん、どうしたのこんなところで。
侑
家を出てきた。
健太
え?なんだって?
侑
私の家は壊れちゃった。みんな勝手なことして、もう終わり。
健太さんの部屋につれてって。
健太
え、?少し無言。ご飯は?
侑
まだ
健太
じゃそこの定食屋でいいかな
侑
うん
定食屋に入る健太と侑
食事に手をつけず無言。
父に長く女がいたこと、それに耐えられなくなった母が昔の恋人の元へ去ること。自分の居場所が一度に消えたことへの恐怖と寂しさを語る侑。
映像で説明。
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健太の部屋
生真面目な顔の健太、正座している侑。
無言の2人。
侑
健太くん、私は大学を辞めて、アメリカに行く。そして、やりたかった事をアメリカの商社に入って、仕事を思いっきりやりたい。あすは、ロスに発つ。その前に、1日で良いから健太くんと過ごしたいの。まだ男の子と付き合ったこともない、南中で会った健太くんの印象が強すぎて。
抱いて、健太くん。今夜だけ、‥‥‥忍さんを忘れて。
無言の健太
服を脱ぐ侑
侑を抱きしめる健太
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窓が明るくなり電車の行き交う音が聞こえる。
侑
健太さん、ありがとう。笑顔の侑。
2人、部屋を出て駅に向かう、
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灯を点けない健太の部屋。忍の写メを見ながら焼酎利右衛門を飲む健太。
健太 部屋にうずくまっている。足を抱いて頭を抱えて座っている。
指宿を出るときの忍の笑顔がけせない。映像と声。
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