原作者からの手紙 その2
原作・鑑賞の手引き2「原作はどんな話?−1」
応募の原作「砂の道の向こう」は、400字詰め原稿用紙65枚の中編小説です。
平成20年という節目の年に、同じ節目の年となった昭和20年を思いながら書きました。
「あらすじ」を改作し、シナリオ案として応募しました。
あらすじ
鹿児島県指宿市の魚見岳とその麓の海岸一帯は、霧島屋久国立公園に指定され、豊かな自然が指宿の人々によって守られている。
海岸の田良岬と沖合八百メートルに浮かぶ知林ヶ島との間には、大潮の干潮の時に砂の道が現れ、岬から歩いて渡ることができる。
かつてこの海岸には、指宿海軍航空隊基地があり、先の大戦末期、水上飛行機による特別攻撃隊が発進した。
晩年の柳瀬靖恵は、この海岸で過ごすのが日課であった。
彼女の夫・柳瀬直行海軍中尉は、昭和二十年七月三日水上飛行機による特別攻撃隊の一員として出撃した。
最後の夜、直行は靖恵に、どんなことがあっても生き延びて欲しいと言い、またあの砂の道で会おうと約束した。
初夏のある日、靖恵が一日を過ごした海岸から帰ろうとした時、消えていた砂の道が突然現れた。
その砂の道を、直行が別れた日のままの姿で歩いてきた。
直行は、約束通りに懸命に生きた靖恵を誉めた。
靖恵は、その八十三歳の生涯を、砂の道で静かに終えた。
知林ヶ島から、かすかに鈴の音が聞こえていた。
内容構成
1 子供達の喧嘩 2 海軍兵学校合格祝い 3 屋久島西方沖対潜水艦戦 4 自然観察会 5 指宿高等女学校 6 松林を歩く二人 6 大村海軍航空隊の訓練 7 亡き友の妻の覚悟 8 「ト号作戦」の意味 9 結婚 10 指宿基地空襲 11 最後のト号作戦 12 最後の夜の約束 13 昭和20年7月3日出撃の朝 14 ト号作戦機発進 15 自然観察会から帰る子供達 16 突然現れる砂の道 17 鈴の音
映画にはない原作の言葉:「父も喜ぶよ。靖恵さんは父のお気に入りだから」「お父様だけですか」
次回は、内容構成を、少し詳しく書かせていただきます。
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