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2015年3月4日

2015年3月 4日 (水)

映画 「砂の道」… 第1章 イントロダクション


第1章 イントロダクション
1
小学2年生のクラス。先生さようなら、の声が元気よく聞こえ、先頭を走って飛び出してきた女の子。小雨が降っている。右手に傘を持つて、左手は飛行機の翼のようにしながら走ってくる。後ろからたくさんの子供達。
元気に走ってる女の子、校門を出たところで一瞬見えなくなる。大勢の中から1人の男の子が駆け出す。門を出たところですべって泥だらけで、膝をすりむいた女の子。傘も飛んでる。男の子、赤い傘を拾って女の子に渡し、女の子をおんぶする。泣いていた女の子ヒクヒク言いながら泣き止む。雨の中女の子をおんぶした男の子が歩く。女の子男の子に耳打ちする、
「お嫁さんにしてくれる?」男の子、少し考えてから、大きくうなづく。カメラは上からの引きになり、校門、雨赤い傘、街並みを写す。雨の音が画面を覆い尽くす。

2
女の子の家。お母さんが病院から帰って来ている。忍、傘を置き、走って行ってお母さんに抱きつく。

父毅
こらこら、しーちゃんお母さん、きついからやめなさい。
母瞳
毅くん、大丈夫よ。お母さんさっちゃんとしーちゃんに会うと元気が出てきて病気を忘れる。笑う。
忍
ほうら、お父さん、だってえ、ねえ、お母さん。
母の隣に座っている姉祥、優しく微笑む。
祥
お母さんが病院にいるから忍、甘えられないんだもん、今日くらい良いんじゃない?
父毅
そうだなあ、忍も寂しいけどお母さんだってそうかもなあ。

3
忍の家の前に、忌の文字、黒い服の弔問客が入っていく。
しょんぼり祥と毅に肩を抱かれ、葬儀、遺影の下に座る忍。
門のところに健太。駆け降りて行く忍。忍の肩を抱く健太。泣き尽くす忍。

4
小学生四年生。おわかれ遠足。
手前に歩いている2人。遠くにクラスの子供たちと先生。
リュックを背負った2人嬉しそうに歩いている。
しゃがんで何か探している忍と、健太
忍小さな薄い色の桜貝を手に健太に向かって走る忍
健太、桜貝で小さな指輪を作る。
健太、忍の左手薬指にはめてあげる。手のアップ。忍の笑顔。
冗談交じりに忍は、結婚式は洋式で、白水館と言うと、健太は俺、じゃあ稼ぐな、と言った。この砂の道をバージンロードにしたい、とおませな忍。

5
タイトルバック
青空、砂の道 知林ヶ島と砂の道が引きで入る。
忍と健太の笑顔でFO(フェイドアウト)

映画「砂の道」第2章 若草の頃


6
隣のクラスからバタバタと入ってくる女の子、忍。南指宿中。
2年1組の表札
健太の机の前に後ろ向きに座り、理科のノートを広げる。
忍
健太あ、ここわかんない、教えて。
健太
ここか、ここはこうだろう、こうでこうだよ。
忍
ありがと、健太、あったまいい。ここ宿題でさ、わかんなかったんだよ。
健太 笑っている。
忍
なんでも言いな。俺、できることはなんでもするから。
忍 かぶりを振って、笑顔
今日家に行って良い?
健太
ああ、良いよ。

7
チャイムが鳴り、次の授業の先生が入ってくる。
先生
上原さん、中村君を大好きなのは良いけど自分のクラスで勉強しなさいね。
一同どっと笑う。
忍
はあい、頭をかきながら出て行く。
健太と忍、右手を小さく振り合いながら笑顔。

8
次の日
登校時
赤いレクサスが走ってくる、中に長い黒髪の少女と母らしい運転する女性。
侑
お母さん ここで良いよ。校門まで入ると恥ずかしいよ。
母加奈子
だってまず手続きやご挨拶やあるし。
侑
お母さんは事務室に行ってよ。私歩いていく。

車から降りて歩き始める侑。たちまち登校する中学生の注目の的になる。

猫背でヒョコヒョコ歩く健太の横を急ぎ足で通り過ぎていく侑。ちらっと長身の健太を見る侑。髪がなびく。

9
健太の教室。
先生と一緒に立っている侑。長身。
先生
伊藤侑さんはお父さんの仕事の都合で、半年だけお母さんのふるさと指宿で暮らすことになり、南中でみなさんと一緒に勉強します。仲良くね。
侑
伊藤侑です。短い間ですがどうぞよろしくお願いします。
拍手 こそこそ、話す男子、女子。
先生
伊藤さんは先月までアメリカにいたので英語が堪能だそうです。本場の英語に触れる良い機会ですね。

子供たち おおおおお。

じっと健太を見つめる侑。健太の前の席が空いている。
侑
先生あの席は空いてるんですか?
先生
ああ、空いてるよ。先月、転校した子の席だから。
侑
じゃあ私あそこに ( 言いながらつかつか、歩いて行き)、健太によろしくね、と言いながら座ってしまった。
健太 はあ。
うしろの祐二が健太の背中を突く。振り返った健太。ニヤニヤしている。祐二もニヤニヤ。

映画「砂の道」

10
次の休み時間
いつものように健太のクラスに来た忍。健太の前に美女が座ってるのを見て愕然として、床に座り込む。みんな気を使って知らん顔をしている。
席に行き、健太を引っ張っていく、忍。
忍
わかってるね。健太
健太
あ、うん。何が?
忍
あんな美人が前に座ったら嬉しいでしょ。
健太
いや、ぜんぜん、忍の方が可愛いよ。

忍健太の腕を掴み、教室から外に出て、人気(ひとけ)のないところに来ると、突然抱きしめる忍。忍と健太の顔が交差する。
慌てる健太。
忍、にこやかに笑いながら、頭が交差したまま
忍
愛してるよ健太
健太忍を見つめる

11
下校する帰宅部の健太の後を歩く侑、少し早足になり、健太に追いつく。
侑
あの、私、前に座った伊藤侑です、
健太
あ、ああ、よろしく。
転校、初めてなんで、戸惑ってしまって
健太
すぐ慣れるよ。俺もそうだったから。
侑
あ、健太さんも?
健太
そう、東京に居たんだけど、両親が離婚して、おふくろの故郷の指宿に帰ってきた。
親父は東京にいるけど、もう別の家族がいるんだ。
話しながら歩く侑と健太
バレー部に行く途中2人を寂しそうに見つめる忍。

12
半年後、父のいる東京に行くことになった侑と母
リムジンバス乗降口の前に見送りの2年1組の生徒と先生。
健太を見つめる侑。バスが走り出す。

映画「砂の道」第3章 祥と純


13
忍15歳、祥26歳。
ドブ川の小料理屋いさむ
料理人の勇とその妻まさこが忙しく働くいている。裏口から入っていくと忍の姉、祥がお盆に空のビール瓶を乗せてカウンターに置く。まさこが受け取る。
裏口から入ってくる健太と忍
忍
こんばんはあ。
勇
お、今だったかいばかップル。
まさこ
何言ってんの。この2人は純情可憐な恋人さ、そういうのとは違うんだよ。
忍
まさこさんサンキュー。
健太
お邪魔します。
祥
今日は早かったのね。勇さんすみません、いつも。
勇
良いの良いの。さっちゃんの妹夫婦だもん。
まさこ
こら、また。(みんな笑う。)
カウンターの端っこで夕飯を食べる2人。

健太、忍
ご馳走さまでした。ありがとうございました。

14
ドブ川通りを歩く2人。昼間の明るさがまだのこる通りは人通りが少なく、少しづつ夜の女性たちがきらびやかな衣服に派手な化粧で自分の店に急いでいる。時々挨拶する忍と健太。女が近ずく。
女 色っぽい30歳くらいの女性
あんたたちいつも、一緒ねえ。忍ちゃん色気が出てきて綺麗になったわね〜。
健太がまた、かっこよくなっちゃって。そろそろ私のお店にも来てよね。
忍
こらこら、あたしたちまだ中学生ですから。でもありがとね。ウフっ。
健太
俺ちょっとは飲めるけど。今度おねがいしまあす。
忍 少し怒りながら。
ばかたれ、行くよ。なによあんな年増。こんな若い可愛い子連れてるのにデレデレして、全く男ってのは。

15
少し色が浅い画面に切り替わり、雨の中突然車が横切る。激しいブレーキの音、救急車のサイレン。倒れた男の足、散らばる楽譜、ギターケースが飛び中からギターが飛び出す。

16
ギターの前で楽譜を書いている男、毅。松葉杖が玄関に置いてある。
忍
ただいまあ、今だったあ。毅くん これ夕飯、今日は煮魚だった。美味しかったよう。
健太
忍、お父さんだろ、まったく、毅くんって。
忍
だって。この呼び方お母さんがしてたから好きなんだ。
健太
だからって、お前が。
父
良いんだよ健太、忍の寂しさがそれで紛わされれば。笑いながら。
忍
健太、ありがとね、いつも送ってもらって。じゃまた明日。
健太、手を振りながら遠ざかる。

17
帰り道、煌々と灯りがついている前園経理事務所。窓に健太の母、八重子の顔。
見上げながら家路を急ぐ健太。腕時計を見る、7時42分を指している。
机に座って本を読む健太
玄関が開いて八重子が帰ってくる。
八重子
ただいま
健太
おかえり、母さん。
八重子
今日もさっちゃんとこで夕飯ご馳走になったの?悪いねえ、いつもいつも。
今の時期お母さんの会社は忙しくてなかなか定時に帰れないから、すまないねえ、あんたも忍ちゃんちにも。
健太
うん、そうだよね、でもありがたく頂きました、笑う。
八重子
今度の休み、忍ちゃんちの人たち呼んできて、焼肉、ご馳走しよう。
健太
良いねえ、笑う

映画「砂の道」

18
居酒屋イサム

客A
だからかあ、ここの料理はその辺の居酒屋のとは全然違うと思ってたよ。「燦」で働いてたのか。
客B
「燦」って和食の老舗旅館だよなあ、どうりでね。
客A
お前にはわからんよ。だって焼酎のんでるだけだからなあ。(笑)

まさこ、カウンターのお客に笑う。
調理場にある時計が8時50分を指している。時計を何度も見ては店の戸口を見る祥
それに気づき、まさこが勇に笑いかける。
純、引き戸を開けて入ってくる。
純
こんばんわ。
祥
いらっしゃあい。(弾けるように笑顔がほころぶ)ビールと、はい突き出し。
祥
純さん、明日、鹿児島に映画見に行かない?
純 ビールと突き出しを口に運びながら、
明日はちょっと。
祥
え?
純
死んだ女房の命日なんだ。お墓に行こうかと。毅も一緒に行ってくれるっていうから。嬉しいよね。友達ってのは。
祥
あ、そうだったね。ごめんなさい。昔のバンド仲間は健在ですね(笑)、私も行こうかな。
純
良いよ良いよ、さっちゃんには関係ないことだし、誰か誘って、映画観てきたら?おじさんたちは抹香臭いお墓詣りをしてきます(笑)
祥
うん、そうする。(素っ気なく言う)
勇
純さんいらっしゃい。さっちゃんあれ出してあげたら?
まさこ
そうだねえ、さっちゃんがうちのに教えてもらって初めて作った煮物。
祥
そんな恥ずかしい。
まさこ
あの味出せたら、もういつでもお嫁に行けるよ。ねえ純さん?
純
ああ、そうですよねえ。早くお嫁さん姿を見たいですねえ。
まさこ 小声で
まったくこの男は鈍いんだかバカなんだか。
勇
お前は、男心がわかってないんだ、大事に思えばこそ、抑えてるのさ、恋心を
まさこ
あんたの口から恋心なんて言葉が出てくるとは思わなかった、歳も随分違うし、純さん、一回結婚して奥さんに死なれてるし、さっちゃんはあんなことがあったし、すんなりとはいかないのかねえ

映画「砂の道」

5年前
19
指宿市内 観光ホテル「燦」

フロントから入った裏口
権藤
( 営業への出がけに祥の手を触り、)さっちゃん今日いいだろ。飲み。
祥
え、今日は遅番なんです、何時になるかわからないです。
権藤
じゃ、待ってるよ、駅前のクロスね。和風の。
祥
あんな人目につくとこ大丈夫なんですか。
権藤
大丈夫大丈夫、大胆にして繊細なこの僕だから、にっこり笑う。
祥も笑い返す。

20
深夜2時ホテルから出てくる権藤と祥。「燦」の割烹で働いているまさこが車で通りかかり驚いて見る。二人は気がつかない。

21
ホテルの給湯室、お茶をお客様に運ぼうと入り、突然吐き気を催す祥。
ラウンジに入ってくる純42歳、何気なく給湯室の前を通りかかり、毅の親友で、昔のバンド仲間、その娘祥が吐いているのを見る。

22
深夜零時遅番で帰る祥、片側車線を走る車の助手席に同じホテルで働く真弓を乗せて運転する権藤とすれ違う。驚く祥、

23
souvenir shopで客の土産物を取りにいく祥は権藤とすれ違いざま、
祥
夕べ真弓さんといましたね。権藤ふてくされながら、シラをきる。
権藤
何が?お前こそあんな夜中に誰と一緒に居たんだよ。
今夜、な?と言う権藤を無視して去る祥。
権藤
おい、手をつかもうとする権藤にぶつかる純、
純
あ、権藤さんすみません。
権藤
ピアノ弾きか。ふん。
祥
純さんすみません、なんでもないですから。父には内緒で。
笑顔で返す純。

24
祥と権藤、バーで飲みながら権藤が妻の不満を話している。
権藤
酷いだろ、あんなの女じゃないよ。気ばっかり強くって。だから、さっちゃんと一緒になりたいんだ。俺と結婚しよ、いいだろ。
祥
でも奥様がいらっしゃるのに私、申し訳ないと思ってて、もうこんな関係はやめた方がいいと今日は言いに来たんです。
権藤
さっちゃん、何言ってるの、僕のこと嫌いになったの?愛してるんだ、俺。
うちのだって、男がいるみたいなんだよ。だから、もう別れるんだ、俺たち。良いんだよ。
祥
そういうことではなく、良くないことだと。
権藤
ああ、そうか。さっちゃん、好きな男ができたんだ。なんでもするからさ俺。ね結婚しよ。だから今から海月に行っていろいろ話し合おうよ。
祥
本当に今までありがとうございました。
店から走り去る祥。

25
数日後、血相を変えて会社を出て行く権藤。
祥
(職場の同僚内藤に)どうしたんですか、と尋ねる。
内藤
あのバカ、不倫がばれて奥さん、自殺未遂したんだって、病院から電話。真弓と出来てて、ばれたんだって、随分大胆だよなあ、こんな狭い街で。真弓と結婚するって言ってたけど他にも女がいたらしい、背が高くてかっこいいからもてるんだろうけどそれを信じる女はいないと思うけど(笑う内藤。)信じるのはよほど頭の弱い女だな。

26
「燦」の廊下
まさこ
さっちゃんちょっと。
祥
はい。
まさこ
この前夜中2人で出てくるとこ見ちゃったんだけど。あんた大丈夫?つわりなんじゃない?
祥
え、まさこさん。
まさこ
権藤には言ったの?悪いやつなのよ。うちの亭主の勇も言ってたけど、会社の女の子何人かと付き合ってるんだって、そろそろばれてクビでしょうね。奥さんも出て行くと思う。ここの先代会長が仲人したから、奥様の両親に会わせる顔がないもの。

血の気が失せる祥、
祥
廊下を歩きながらモノローグ
誰にも知られてないと思っていた。まさこに知られていた、権藤さんの奥様にも知られてたのか。
でも別れるから一緒になろうと言われていた。まさか。私はバカだった、騙されてたんだ。不倫。秘密にしないか?燃えるよ、普通の恋じゃないから、と言われて抱かれた。燃えた、バカ。私はバカだ。

27
2日後、祥は真っ青になって、ラウンジでピアノを弾いている純のところに来た。純の顔を見るなり倒れこむ祥。純、驚いて祥を受け止める、着物の裾から出血。純は祥を抱きかかえると、ホテル前に止まっているタクシーに乗りそのまま病院へ。

28
祥は妊娠していた。流産。病院に純に父親だと言って欲しいと言う祥。
頷く純。
祥の家。怒りで真っ赤になり、その後悲しそうにうつむく毅。相手の名前を頑として言わない祥。

5年後 居酒屋イサム
29
勇
まさこ、さっちゃん、そろそろ終わろうか?
まさこ
そうだね。あ、今日、お給料日、はい、さっちゃん少ないけど。
祥
ありがとうございます。忍と健太が夕飯ご馳走になってるのに。
勇
良いんだよう、さっちゃんのおかげでお客さんも増えたしね。女手ひとつで一家を支えてるんだもん、偉いよねえ。
祥
そんなあ、ありがとうございます。じゃあ、失礼します。純さん、帰ろうか。
純
そうだね、お勘定。

30
店を出て歩く2人
祥
冷えると思ったらお月様が綺麗ね。星もあんなにくっきり。
純
本当だ
純、祥に上着を渡す
祥
ありがとう。
純
こんな親父と夜中歩いてると嫁入り前の可愛いお嬢さんに良い男が寄り付かなくなっちゃうな。
祥 、純のスーツの裾を少し掴む
別に、もう今更。純さんとこうして歩く時が一番嬉しい。(小声でつぶやく)
純
え、何?
祥
なんでもない。

映画「砂の道」


31
家の前まで来ると誰かが立っている。以前祥と付き合っていた権藤。
権藤
おい、祥の 手を掴もうとする。かなり酔っている。
権藤
「この盗人があ、」罵る権藤。
祥をかばう純。殴りかかる権藤、純、殴られて、道路に倒れる、
抱き起こし介抱する祥。
権藤
俺はな、クビになるし、嫁は出て行くし、。だからさあ、お前、俺と。祥に近づいていく
純
権藤さんやめてください。祥を庇って前に出る純。
権藤
どけ、
純をつき倒そうとする権藤。
権藤
あばずれがあ、言った瞬間、権藤の顔を殴る純、いつもは冷静で穏やかな純の一面に驚く祥。
しかし、ピアノ弾きの華奢な手は喧嘩もしたことがないのですぐ劣勢になる。華奢な純の手のアップ、細くて白い。それでも大柄な権藤に果敢に殴りかかる、
権藤
へっ、お前そろそろ50だろ、みっともねえなあ。こんな若い女に手を出して。恥ずかしくないのかよ。言いながら蹴りつける
祥
やめてください。純さんはそんな人じゃない。
権藤
じじいが幾ら頑張ってもその女はあんたには振り向かないよ。俺が仕込んだからなあ(下品に笑う)
飛びかかる純を蹴り倒す。また起き上がり権藤に飛びかかるが、何度も何度も殴られ踏みつけられ、権藤は落ちていたブロックの破片を動けなくなった純の右手を潰そうと、振り上げた。祥は恐怖のあまり、すくんで動けない。純はもがくが権藤の足はしっかり押さえつけている、もうだめかと目を閉じかけた瞬間、激しい叫び声とともにいつ来たのか、健太が権藤に体当たりしていた。権藤は咄嗟に周りを見回したが自分を倒したのが少年と見て、捕まえにかかったが権藤は酔っているので素早い動きの健太はなかなか捕まえられない。少年は権藤が捕まえに来るのを後ろに回ると思いっきり背中を蹴飛ばす。前のめりに倒れる権藤。倒れている権藤の顔を蹴りつける少年。次第に動けなくなる権藤。サイレン。
忍
健太、こっち、松葉杖の毅と共に忍。健太、忍の家に駆け込む。
警官が駆けつけ権藤をおこし、純に手錠。暗がりから出てきた近所のおばさん美佐江が美佐江
電話したのはわたし、こいつ(権藤)がこの2人に絡んでたから呼んだんだよ。この人は何も悪くないよ。

32
その晩、謝る祥、
祥
ごめんなさい、私がバカだったばかりにあなたまでひどい目に合わせて。
純
いや、(ぼくなんかでも)いてよかった。役に立たなかったけど(笑)。健太、強かったなあ、おとなしい子だと思ってたけど。
健太頭を掻きながら、
どうして良いかわからなくて、自然に
祥
みんな、ありがとう。本当に、(泣きながら)
健太
じゃあ俺はこれで。(2人玄関から出る。)
忍
ありがとう、今夜は。健太。
外に出て忍、健太の手を握る。見つめあう2人。
忍、健太の顔を手で挟み口付ける。
無言の2人。どちらからともなく笑う。
忍
健太、大好き。
健太
無言で微笑む。なんか有ったらまた電話くれ。すぐ飛んでくるよ。
忍
うん、ありがとう。
健太
じゃ、明日な。
自転車で遠ざかる健太、いつまでも見送る忍。

映画「砂の道」

第4章 青い樹々の項

健太と忍
33
指宿高校の正門をクラスメートとくぐる健太。校庭には学生服と制服の高校生たち。

34
忍の家で父毅がカラオケの採譜をしている、その横で会話。
忍
健太、学校が別だからって 浮気しないでね。したら私泣くから
健太
お前こそ。
忍
私は健太一筋。笑う
健太
俺は忍が泣くようなことはしない、絶対しない。
35
ハイビスカスロードを自転車で走る健太、忍。
砂の道を歩く二人、笑顔。カメラ2人を回る。忍のアップ

36
2年後
夜、机。受験勉強している健太。東京の父からの手紙を読んでいる。
「健太、がんばってるかな、私たちのせいで君には随分辛い思いをさせていると思う。君の母さんとはちょっとした心のすれ違いで別れてしまい、本当に申し訳ないと思っている。金銭面でも苦労させていると思う。何も親らしい事が出来ずここまで来てしまったが、なんとか大学だけは私が出して社会に送り出したい、どうかお願いだ。私に父親らしい事をさせて欲しい。」

健太、手紙を八重子に見せる。
八重子
なに、今頃言ってるの。冗談じゃない。ここまで頑張ってきたんだ。もう一踏ん張り、お母さんが頑張るから学費くらい、なんとかするよ。心配しないで。
健太、心配そうに八重子を見る。
36
夜中布団の中で考えている八重子、起き出して、健太の手紙を読み返す。
若い頃の自分と健太の父と健太と3人で歩くシーン。目に涙

37
翌朝、
八重子
健太、松崎さんに、あんたのお父さんに、お世話になりますって手紙を書きなさい。
健太
本当?お母さん、良いの?
八重子
良いよ、お父さんも、あなたに何かしてあげたいんでしょ。
驚き喜ぶ健太。

38
忍
お姉ちゃん、毅くん、決まった。指宿駅の観光案内所。観光協会の職員になれた。
祥
しーちゃん、おめでとう。
忍
それでさ、ピアノだけど純さんが空いてる時間に時々、教えてもらうことにしたんだ。
祥
良かったねえ。お父さんも復活するかもねえ。
毅
そうだな、一緒にやるかあ、笑う。
しーちゃん、すまんな、お父さんが甲斐性がなくて、本当は音大に行きたかったんだよなあ。
忍
全然だよ。お父さん、大丈夫。それに家には上原毅って往年の名ギタリストだっているし。
毅
往年の、だもんなあ。力なく笑う。
全員微笑む。

39
ホテル「燦」のラウンジ
Left alone.を弾いている純。
熱心に鍵盤を見つめている忍。

40
数ヶ月後 4月
知林ヶ島を見下ろす魚見岳に桜が咲いている。

映画「砂の道」


侑と健太
41
東京
大学に入学した健太は環境研究サークルに入った。
環境研究会の看板の部屋
サークル仲間が会議を開いている。
先輩が、海流の流れを話し、指宿の知林ヶ島についてスライドを流して美しい島だと説明している。
柏木
中村、この島お前の街にあるんだろう。凄く綺麗な島で、島の周りもたくさんの魚が棲んでるんだ。ちょっと、説明してくれ。
健太
はあ、実はあまり良く知らないんです。ただ、その島に砂の道が1日に一回だけできて陸地と繋がるのが有名で、観光客がたくさん来るんです。理由は、珍しいってのもあるんですけど、その道を一度歩いた人々は別れても、また巡り会えるって言い伝えがあるからなんです。
智子
なんか、ロマンチックなとこね。
西原
面白そうだな、中村、いろいろ調べてくれよ。次の学祭の発表はこれで行こうか?
全員、そうだな。賛成。

映画「砂の道」

42
健太、知林ヶ島の事を調べようと渋谷駅東口から南口の本屋に歩く健太。
南口のJR階段を登ろうとする大学生の一団。登ろうとして、足が止まり東口から歩いてくる健太を見つめる女子大生。
侑
健太くうん、手を振る侑。
健太、逆光で見えない。近づくと侑と仲間の学生たち。ジロジロ見ている。
侑
彼、鹿児島の中学で一緒だった健太くん。私の初恋の人
仲間たち、ヒュー、それは凄い。誰にも振り向かない侑が?
侑
子どもの頃の話よ。笑う。こっちの大学に来たのね。やっぱり理系に進んだ?
健太
うん、他にできないし。
侑
みんな先に行ってて。また明日。
健太
良いのか?
侑
うん全然、クラスメート。
久しぶりに会う侑は垢抜けて、一段と綺麗になっている。
侑
健太くん、お茶でも飲もうよ。
健太
子どもの頃に戻って(笑う。)
渋谷の雑踏が映る。

43
忍
JR指宿駅構内の観光案内所で元気よく観光客に応対する忍。案内所に貼ってある大きな砂の道のポスター。健太と行った日のことが思い出される。

太平次 旅立ち

  • 216
    指宿ムービープロジェクト制作の6つめ(名義は7作目)の映像は指宿まるごと博物館と共同で制作する「TAHEIJI旅立ち」 幕末の指宿に生まれ、海上王として花開き、日本の長者番付でトップになり、島津藩の逼迫した財政を立て直し、ついに明治維新へと舵を切らせた希代の英雄、濱崎太平次を多くの資料や聞き書きによって脚本化し、念願のドラマを今年造ります

好奇心の漂流記

  • 打ち寄せる青い波
    2010年7月からクランクインした「好奇心の漂流記」もやっとクランクアップが見えて来ました。とは言え、今日も「見た目」「イメージ」「・・・」を撮影に1人うろうろ、してる人物がいます。今年こそは指宿市民会館で上映できると張り切っています。このアルバムはブログで紹介できなかった様子をそのままお見せしています.

ふるさとCM撮影

  • 菜の花畑で
    3月30日、春休み最後の日を利用して、菜の花が最後まで残った池田湖の菜の花畑をお借りして撮影しました。締め切りは今年9月ですが、菜の花がテーマなのでいち早く撮影しました。なんと1日で。

5年後の縁結び

  • Pict0095
    2008年9月7日日曜日クランクアップの日。今まで携わってくれた方全員は集まれませんでしたが、中学生を中心に知林ヶ島が見える海岸に集合しました。最後の撮影はまた、大急ぎで行われ、なんとか撮り終わりました。この後、記念撮影の後、制作サイドで用意した記念品を配り、主演の宮田絵里花 さんと若松大義くん、それに最年少の輝帆ちゃんとひなちゃんに花束贈呈をしました。絵里花ちゃんたちはサプライズとして、みんなで色紙を書いて制作統括に渡し、統括は目を潤ませるといった1シーンもありました

トリオ撮影日記

  • Pict0665
    指宿ムービープロジェクト実験ドラマ「トリオ」の撮影風景です。たった6日間の軌跡です。しっかり、楽しんで、たくさんの思い出を残し、良い映画を作りたいです。

今までのナイスショット

  • Dsc00348
    今まで撮影した中、あるいは、スチールを撮りに行った時のナイスしょっと等載せました。この中からアイドルが生まれるかもね

入院中の望美

  • Photo_1
    ヒロイン;望美が事故に遭い入院してるのがこの病院、最初の話では鹿児島市で事故に遭い、救急車で鹿児島市内の病院に運ばれ、指宿市内の病院に転院という設定でしたが、救急車が指宿市内まで運んでくれたことになり、この南記念クリニックで撮影させていただくことになりました。というのはカメラマンの樋園さんがここで理学療法士として働いているため。先生その節はお世話になりました。

事故シーン

  • Photo
    指宿中央自動車学校と鹿児島中央駅キャンセビル横で撮影した事故シーンの写真 役者・スタッフを前に前説をするむっちゃん、寒さの中をじっと耐えるエキストラの面々、等見所充分。とはいえやはり、血だらけで横たわる望美嬢の悲惨さに目をつぶることはできません。 この日は2つの街が現場なのと大勢の方に協力を頂いているのでもう、大変でした。雨も降ったりやんだり、突然晴れたり、もう、どっちかにしてくれ、撮影できないよ
フォトアルバム

指宿ムービープロジェクト関連サイト

  • FB  指宿ムービープロジェクト
    指宿市を舞台に映画作りをしています。指宿が生んだ幕末の豪商、浜崎太平次と指宿に伝わる篤姫の話しを映像にしました
  • 指宿ムービープロジェクト公式ホームページ
    指宿ムービープロジェクト実行委員会のすべてを掲載しています
  • 指宿市役所
  • いぶすき菜の花マラソン実行委員会
    新年第二日曜日に指宿市内で行われるマラソン大会。沿道には早咲きの菜の花が咲きそろい、市民が応援する、おもてなしのマラソン大会来年で29回うぃ数える、14,000名を超える参加者がある。
  • 平成版IT湯治
     湯治という営みは、まだ病院や医学の知識も無い遠い昔から、人々が元気になる為の手段として有りました。 労働や、日常の様々なストレスの中で疲れた心と体を、薬でなくとも温泉や自然、静かな環境などが癒してくれることを、人々はその体験から知っていたのです。  この体感的に感じていた温泉の湯治効果を、現代のIT技術で、目で見て判るかたちで知り、それを観光や日常の健康づくりに活かそうという試みが、指宿温泉で始まりました。  それが「平成版IT湯治」です。